揮発性

なんにも残らない

応援しているグループが全員既婚者になった

 タイトルの通りです。
 ずっと応援してきたグループが、全員既婚者になりました。つまり、最後のひとりが結婚しました、という話です*1

 酒井雄二さん、ご結婚おめでとうございます。

 ここ10日くらい考えていたことをつらつら書いているので、人によっては不愉快かもしれません。「素直に祝えないやつはダメなファンだ」というタイプの人は読まない方がいいと思います。また、この文を通して「こうするべき」ということを言いたいのではありません。個人の考えです。


 10月20日金曜、20時ちょうど。
 グランプリシリーズ・ロシア大会のテレビ放送が生中継でないことに苛立ちながら、ツイッターを開いた。
 いつものタイムライン、いつものメンバー。いつもと変わらない雰囲気の中に、ぽろっと酒井さんのツイートが流れてきた。

 「お知らせがあるよ(見てね)」という旨と、公式サイトのURLが貼ってあるだけの、一見そっけないツイート。ものすごく、嫌な予感がした。2年前、北山さんが脳腫瘍で倒れた時と同じスタイルだったからだ。
 140字に収めて、タイムラインにそのまま流したっていいはずだ。それを敢えてせずにリンク先へ誘導するのは「ツイートではなくリンク先をしっかり読んでほしい」ということだろうし、それくらい大切なお知らせなのだろう。フォロワーがリンク先を読まずに拡散して、ツイートが独り歩きしてはいけない。そんな意思が伝わってくる一方で、2年前のことがフラッシュバックする。

 これはただごとじゃないぞ。何があったんだろう。また誰かが体調を崩したのだろうか。まさか、まさか活動休止とか…考えたくもないけど脱退とか…解散とか。そういうのだったら、どうしよう。いやだ。絶対いやだ。
 URLをタップするのに躊躇いこそしなかったが、読み込みが終わるほんの2、3秒の間にそんなことを考えてしまった。

ゴスペラーズ公式サイト|GosTV

2017.10.20 酒井雄二からご報告

ゴスペラーズを応援してくださっている皆さまへ
1994年のデビュー以来、音楽の道を邁進してまいりましたがこれからもさらに歌い続けてゆく為、人生の伴侶を得る運びとなりました。私 酒井雄二は、10月17日に入籍致しました事を皆さまに御報告申し上げます。
私達ゴスペラーズが、歌とハモりの長い旅を続け、今もなお挑み続けていられるのはひとえに皆さまから頂いている声援とチャンスのおかげに他なりません。その感謝を忘れる事なく、この先も歩んで参りますので変わらぬ応援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

ゴスペラーズ 酒井雄二


 リンク先には、これまたあっさりした文章の、それでいてどこか緊張した入籍報告が綴られていた。思わず声が出た。
 率直な気持ちは「よ、よかった」。酒井さんへの祝福というより、悪い知らせではなかったことに安堵した「よかった」が勝っていた。
 週末を挟んで月曜深夜*2、レギュラーラジオ番組の冒頭でもこの件に触れていた。2分たらずの短い時間、いつも「あのー」や「えー」を挟まず歯切れのいい話し方をする酒井さんが、ことばを選びながら話してくれているのが伝わってきた。以下文字起こし*3

 はい、改めまして。ゴスペラーズ酒井雄二です。

 ね。あのー、ま、この、番組のリスナーの皆さんはね、先日の発表を、まあ何らか目にしたりとか、ね、聞いたりなんかして、くださっているのかと思いますけどもわたくしね、先日、入籍を、いたしまして。

 いやーついに。ついにというか、正直…長すぎた独身ぐらいの(笑)話だと思うんですけれどもね。えー…ま、これで、そうですね、直接、自分の口から、皆さんにね。こう変な、曲げられ方とか、誤解を生むような伝わり方とかじゃなく、伝えられるこの、ラジオというね、番組で、皆さんにこうして…直(ちょく)に…お伝えできるっていうのが、ま、大事かなあっていうふうに思っております。

 なんか…ね、そのー…ゴスペラーズをね、長くやってきましたからねーそのー、ひとりの力だと無理なことが、助けあいで何とかなるっていうのは、あの骨身に沁みておりますので、えーこれからの、まあわたくしのですね、ゴスペラーズとしての活動…ていうのをね。なんつうか、より、より頑張るためにね、ちょっと…気合いを入れ直すと。えーそういう心境でございます。

 えー変わらず…やっていきますんで。ひとつ皆さん、よろしくお願いしますね。この番組の調子も、変わりません。正直、しょうもねえなあと(笑)いう感じで…(笑)。あの、「なんでそういうご飯の話に落ち着くんですか?」というようなトーンは多分変わらないと思いますし、実際ね、人間ひとりの人柄なんて変わんねえっすよ。うん。変わんねっす、変わんねっす。

 なので、あの引き続き皆さん、リスナーの皆さんには、「よろしくお願いします」を、おれの口から直接、伝えさせていただきます。

 さて、この番組は、ね。皆さんからのお便りが主成分なんでね!えーふつおたのほうに。スッスッ。こちら。(以下ふつおたコーナーへ)

 
 「この番組の調子も、変わりません。」という声が、際立ってはっきりしていた。

 私にとって酒井さんは、いわゆる「いちばんお気に入りのメンバー」ではない。大前提として5人とも大好きだが、好きなメンバーは?と聞かれれば、北山さんと答える。なのに、なんとも言いがたい、スッキリしない気持ちがあって、自分でも驚いた。北山さんが入籍した時には、あんなに手放しで喜んだのに。ここ10日間ずっと、「どうしてこんな気持ちになるんだろう」と考えていた。はっきり言って、今でもあまり整理がついていない。だからブログを書いている。
 もしかして、これがガチ恋ってやつなのか?とも思ったが、酒井さんが結婚したからといって悲しいわけではない。涙も全く出なかった。ファンをやめようなんて考えもしなかったし、ファンを続けることをつらいとも思わなかった。
 お相手の方に嫉妬する気持ちも無い。酒井さんの言葉には「いつもありがとうございます」「入籍しました」「これからもよろしくお願いします」とあるだけで、お相手の方がどういう方なのか、年齢も、いつ出会ったかも、「一般人」というワードさえ出てこない。「そこには触れてくれるな」ということだろう。外野が詮索するのは野暮だ。品格・骨格・体脂肪率は少し気になるが*4

 使い古された言い方をすれば、心にぽっかり穴が空いたような、そんな気持ちがする。今回の件で「推し 結婚した」とかで検索してブログを読み漁ったけれど、自分の中にすとんと落ちてくるような答えは無かった。
 おそらくこの穴は、何か大切なものがすっぽり抜け落ちた「喪失によってできた穴」ではない。
 私から見えている酒井さんと、一個人としての酒井さんの間にあった壁の一部が崩れて、今まで全く知らなかった部分が急に拓けてしまったのだ。しかもめちゃくちゃ広い。穴と言うより、未知の空間とでも言おうか。
 酒井さんはひとりの人間だし、私はただの一ファンだから、知らない面がたくさんある。頭では理解しているけれど、やっぱり心の準備も無しに現れるとビックリする。というか、「なんだこれ?」とフリーズしている。砂時計のアイコンがずっと出っぱなし。
 RPGゲームで偶然壁が倒れて、その向こうに突然新しいダンジョンが出てきた、みたいな感じ。「いや~確かにマップの右上、不自然にスペースありましたけど!?なんとなく存在するだろうな~とは思ってましたけど!?今!?今それ出てきます!?」みたいな戸惑いが、心の中にある。
 しかもそのダンジョン、出現するだけしておいて、私見たいなのがつついたり足を踏み入れたりできるものではない(したくもない)。今のこの騒ぎが落ち着いたら、そっと知らないふりをしないといけない。きっと本人もメンバーも、誰も話題にしなくなるから。そういう人たちだ。

a2su.hateblo.jp

ファンに見せるところと、見せないところの間に、大きくて分厚い壁がある。それは他の芸能人でも同じだけれど、ゴスペラーズは特にその壁の存在が分かりやすいというか、あえて分かりやすくしている感じすらある。 


 酒井さんはTwitterInstagramも利用していながら、プライベートの動向を匂わせるようなことは投稿しないので*5、5人の中でもその「壁」がはっきりしているなと感じる。最初からSNSをしないという選択肢もあるはずなのに、その選択よりも壁を感じるようなSNSの使い方。
 北山さんのときにこんな気持ちにならなかったのは、北山さんが日頃から「ゴスペラーズのメンバ北山陽ー」を強く意識してSNSを使っていないからかもしれない、と今回なんとなく思った*6。そういうことも相まって、私の中の酒井さん像がガチガチに固まっていた分、今こうして戸惑っているのかもしれない。どちらが良いとか正しいとかではなくて。

 結局何が正しいのかは分からないままだし、自分の気持ちに名前をつけられないでいる。でも、来月の橋ツアーも、来年20周年の苗場も、私は笑って手を挙げていたい。私はTwitterの酒井さんより、Instagramの酒井さんより、ステージに立って歌っている酒井さんが私は好きだ。それだけは確かだ。


*1:私がファンになった時点で5人中3人が既婚でしたが

*2:今思えば金曜の夜に発表ってめちゃめちゃ優しいなと思う。選挙前だから何かと都合がいいってだけかもしれないけど

*3:radikoプレミアムのタイムフリー機能で1週間聴取可能なため、期限切れ後にアップしました

*4:本当に知りたいとは思ってません。堂本兄弟のネタです

*5:誰と会ったとか、仕事以外でこういう活動をしたとか、アルティメットをしているところに通りかかって飛び込んだとか、自宅でカレーパーティーをしたとか

*6:Twitterのbioに「ゴスペラーズとしてのツイートはあまりありません。特に品行方正なイメージをお持ちの方はご注意ください」とわざわざ書いてあるし、実際そう