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揮発性のことば

なんにも 残らない

生まれて初めてジャニーズのCDを買った

お題「NEWS「NEVERLAND」レビュー」
 (レビューと呼べるほど立派なものではありませんがお題お借りします)

 生まれて初めて、アイドルの、ジャニーズのCDを買った。
 これまでアイドルとはあまり縁のない生活をしてきた。意識的に避けたり、嫌っていたわけではない。むしろファンのブログは大変興味深く面白いので日常的に読んでいた。ただ、他にも追いかけたい対象がたくさんあるし、倹約しなくてはと思っていた矢先の出来事だったので自分でも驚いている。

 今、NEWSの「NEVERLAND」が手元にある。4人各々のソロ曲が収録された通常盤と迷って、初回盤を選んだ。そもそもなぜ購入に至ったかというと長くなるのだが*1

 カラオケでたまたま見た「KAGUYA」のMVに釘づけになる
 ↓
 その足でゲオに駆け込み「QUARTETTO」「White」「NEWS」を借りたらものすごくよかった
 ↓
 えっアルバム出るの?え?来週?買います

 カラオケからAmazonまで4日*2。人生何が起こるか分からない。にしても「QUARTETTO」が良盤すぎてもっと早く知りたかった。
 「NEVERLAND」はファンタジックなコンセプトとファン層の厚さから、いろんな感想や考察が読めるのがとても楽しい。

 この先の文章は、メンバーそれぞれの声質や歌割りにはほとんど触れていない。曲の世界観と曲順から勝手に想像したものである。
 私はアルバムを4枚聞いただけなので、とにかくNEWSについての知識が乏しい。加藤さんのライナーノーツも未読で、メンバーの歴史やバックグラウンドをすべて把握しているわけでもない。ゲームで言えば無課金新規ユーザーみたいなものだ。「そんな奴が偉そうに感想なんて書くなよ」と言われればそれまでだが、そんな奴でも書かずにいられなかった魅力が「NEVERLAND」にはあるんだな、こんな感想を持つ奴もいるんだなと読み流してくださればありがたい。

 初回盤特典の「鍵」は細部まで作り込まれていて可愛らしく、しっかりとした重みがある。ビジュアル・歌詞・DVD、あらゆる場面に登場する「鍵」。それが今手の中にあるという体験、高揚する気待ちまで含めてひとつのパッケージになっている。物語に出てくるアイテムをツアーグッズとして売る手法はよくあるけれど、特典につけちゃうところがすごい。NEVERLANDの物語はCDから始まってツアーに続くのだから、ツアーではなくCDと同じタイミングで手に入るというのが重要なのだ。地味だけれど紐や金具をつけられるのもいいなと思う。使い道を考えるのが楽しいし、大量生産だと分かっていても「私の鍵!」感が味わえる。蛇足だが「カードキャプターさくら」世代なので、アイテムとしての鍵はとてもワクワクする。

 「"The Entrance"」のナレーションは「奥様は魔女」のお決まりのオープニングのようで、これから可愛いメルヘンの世界は連れて行かれる……と思いきや、いきなり表題曲「NEVERLAND」のダークさに突き落とされる。不可能は無い代わりに理不尽で無秩序で、ティム・バートンの世界のようである。表題曲らしく、鍵、夢、7つのエレメンツ、アルバム全体を象徴するような言葉がいっぱい散りばめられている。
 いろんな方が触れている「アン・ドゥ・トロワ」の「イきたい」という表記、「イってるのは、トリップ系の魔法がキマっちゃってる、という解釈もあるのでは」と思っている。「NEVERLAND」から続く曲にしては、わざとらしいほどキラキラな理想の世界。でも「夢なら覚めないで」「幻想のよう」という言葉から、やっぱりこれは幻なのだ。24時のベルが鳴れば、馬車はカボチャに、ドレスはボロ着に戻ってしまう*3。魔法が解けた視界から「視線あわせる」「見つめて」という誘い文句で目を逸らさせる、美しくて楽しい世界はいかにも罠。
 「アン・ドゥ・トロワ」で24時に「踊りましょ」と誘われて、それに乗ったつもりでいたらAM0:00にきっついギムレットを飲まされる。NEVERLANDは何かと誘惑の多い世界なのだろう。そんな洗礼を受けた後にやってくる7つのエレメンツの説明。一見なんでもありでカオスに見える世界も、案外シンプルな要素でできている。
 「Brightest」から「恋を知らない君へ」までは恋の曲、しかもハッピーエンドではない3曲が続く。強すぎるほどの光で、おそらく「君」の本当の輪郭が見えない者。口にできない「行く宛のない」想いを抱える者。「あの夏」へ戻りたくても戻れない者。状況は違えど、みんな進めないままそこにいる。「もしかしたら自分も、戻ることも進むこともできなくなってしまうのでは?」という不安にインタールードが入ってきて、NEVERLANDでの4人の存在を思い出させてくれる。
 NEVERLANDからの帰還パートが「ミステリア」で始まる。「夜」「ひとり」「汽車」「窓の外」、そして「ORIHIME」の「999」というワードが並ぶと、ラーメンズの「銀河鉄道の夜のような夜」を思い出してしまう。あのコントの「ずっと一緒に行こうな」という台詞が切なくて大好きなのだが、CDに封入された招待状の縦読みに不思議とリンクする。宮沢賢治銀河鉄道の夜」の「どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んでいこう」も。


ラーメンズ『TEXT』より「銀河鉄道の夜のような夜」

 「ORIHIME」で夜汽車は4人に見送られ、夜空を走る様は「流れ星」のように消えていく。ここで物語は大団円を迎える*4
 このアルバムを初めて通して聞いたとき、なぜ「U R not alone」の前に「"The Grand Finale"」が入っているのか不思議で仕方なかった。普通だったら「U R not alone」の後に「"The Grand Finale"」と「"To Be Continued…"」を合わせたトラックをつけそうなものなのに。
 「U R not alone」は、NEVERLANDの外側にある歌なのだと思う。NEVERLANDから唯一持って帰ることができた、あの世界にいたことを証明してくれるもの。サツキとメイがドングリの芽を見て「夢だけど、夢じゃなかった」と飛び跳ねたり、千尋のポニーテールで銭婆のヘアゴムがキラッと光ったみたいに。「ミステリア」のツアーの客は、本当にひとりだけだったのだろうか。その答えがおそらく「U R not alone」なのだ。
 そして「"To Be Continued…"」でツアーへの期待を残しつつ、このアルバムは終わる。

 ジャニーズでもジャニーズ以外でも、他のアイドルがどういうスタンスで活動しているか分からないが、「NEVERLAND」はどこまでも聞き手を「個」して扱っている印象を受けて驚いた。私は個人的に、ファンというものは大きなうねり、「かたまり」のように考えていて、その大きな力を持った「かたまり」が時に本人を支えたり掌を返したりするものだと今でも思っている。そして私はその一部に過ぎないと。鍵といい招待状といい、とにかく「NEWSは『あなたと』一緒です」という意図が端々から伝わってきて、これはファンは幸せになっちゃうよなあ、だって私でもすごく嬉しくなっちゃうもん、アイドルってすごいパワーを持っているんだなあと感服した。

 ここまでとにかく好き放題書き散らかしてしまい、他の方の記事と似たようなところもあるだろうし「それは全然違う!」と思うところも多々あったと思う。こっそり教えてやってほしいし、むしろオススメのアルバムや曲があったら教えていただけるとものすごく嬉しい*5
 スケジュール帳を見たら、なんの因果か6月10日は仕事で上京する予定になっていた。せっかく東京にいるのに物語の続きが見られないなんてつらすぎる。ソフト化したら買ってしまいそうな自分がいる。



*1:試しに書いてみたけれどつまらない文になった

*2:結局Amazonお得意の「予約受けたけど在庫確保は何日も先だよ☆」を食らったので待ちきれずに地元のお店で発売日に買った

*3:そういえばシンデレラのシャルル・ペローはフランス人だ

*4:「BLACK FIRE」にはノータッチで申し訳ない。思い切りロックなのにメロディが泣かせにきててとても好きです。青エクのOPに流したい

*5:どのファンブログにも必ずと言っていいほど「『美しい恋にするよ』DVDを見ろ」と書いてあり凄まじい引力を感じている